獅子奮迅/獅子奮迅の勢い

ししふんじん

ししふんじんのいきおい

【意味】

獅子が奮い立って走り回る意から、すさまじいまでの速さ・勢いで動き回ること。

また人の勢いの盛んなことのたとえ。

【参考文献】

成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

【猫的解釈】

じゃれて大暴れする子猫

【雑学】

出典

「法華経」諸仏獅子奮迅の力。

《参考》

仏典では獅子を「師子」と書き、仏を言う。獅子が百獣の王であるように、仏が人中の王であるというたとえ。

ライオンの交尾

以下、小原秀雄著 『ライオンはなぜ「人喰い」になったか』 から引用させていただく。

発情周期は、ある研究では野生で一六ヶ月から二週間である。 かなりの幅がある。栄養状態などの条件がよいときには、二週間ごとに発情する。発情は一~二一日間続く。 つまり、一日で終わってしまうこともあれば、三週間続くこともあるのだ。ふつうは、二~四日の発情期で、二週間から数ヶ月間の間隔で年の一回以上発情する。 妊娠期間は一〇〇~一一九日である。 だいたい五回の発情で一回、出産にまでいたるとみられる。

メスは、ときにはしつこく交尾をくり返す。 ドレスデンの動物園の例では、二頭のライオンが八日間に三六〇回、交尾したという。 一頭のメスが、数頭のオスと交尾することも、まれではない。 しかし、発情していなければ、オスが近寄っても攻撃を加えて追い払う。 つまり、ライオン社会にレイプはない。

しかしライオンの妊娠率は低く、飼育ライオンの観測例では、1500回に1回の割合で妊娠したという。 ずいぶん低率だ。 これは交尾が、単に妊娠のためではなく、「個体間関係の親和的機能の一つとなる面もある」からだそうだ。

これは、イエネコが、発情して交尾すれば ほぼ100%妊娠してしまうのとは率が違う。

ライオンは交尾を楽しめるほどの強者である一方、イエネコの祖先リビアヤマネコは、子孫を残すだけで必死になるほど弱者であったということだろうか。

弱者といえば、ウサギも自然界では弱者も弱者、捕食されるだけの動物といってよいほど弱い立場だ。 鋭い門歯や力強い後肢は、肉食動物相手の武器としては何の役にも立たない。 ウサギは逃げることしか考えていない動物である。

ネコもウサギも、交尾排卵 (交尾の刺激で初めて排卵が起こる)する動物である。 ウサギの交尾は猫よりずっと短い。 雄雌が出会うと、雄がいきなりマウンティングして奇声をあげ、 パタンと横に倒れる。 その間、わずか数秒。 それで妊娠してしまう。 猫のように何回も交尾をくり返す必要さえない。

ライオンが、5回の発情で妊娠1回という、野生動物としては相当優雅な生活を送れるのは、ライオンならではと言えるのかもしれない。

もっとも、そのライオンの子でさえ、二歳の亜成獣になるまで生き残れる確率はわずか20%だそうだ。

猫とウサギ

我が家では猫とウサギが仲良く同居していた。 子供の時から一緒なら、猫とウサギは案外相性が良いようだ。

【文例】

向田邦子『胡桃の部屋』

踵のペチャンコな靴にはき替え、胸を張って勇ましく歩くときには、 水前寺清子が一番いいことが判ったのである。

一日一歩三日で三歩
三歩進んで二歩さがる
・・・・・・・・・

その通りの三年間だった。

獅子奮迅と猪突猛進。ライオンと猪を一日置きにやっていた。

桃子は職場にも父の家出を言わなかった。

文春文庫「隣りの女」収録 page123 ISBN:9784167277048

太宰治『走れメロス』

メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う波を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻き分け掻き分け、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐憫を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事ができたのである。

新潮文庫『走れメロス』page173ISBN:9784101006062

道元 (正治2(1200)年- 建長5(1253)年)『正法眼蔵』

百丈の道取する「子向後莫承嗣大師否(しきやうこうもしょうしだいしひ)」の道取は、馬大師に嗣法せよといふにはあらぬなり。しばらくなんぢ獅子奮迅話を参学すべし、烏亀倒上樹話を参学して、進歩退歩の活路を参究すべし。嗣法に恁麼の参学力あるなり。

第五十一「面授」 岩波文庫 正法眼蔵(三)ISBN:9784003331927 page158

【意味】

百丈の云う「お前は、私の話を聴いて、馬祖大師の法を嗣ぐのか、どうか」の言葉は、黄檗に、お前は馬祖大師の法を嗣げと云っているのではないのだ。ここでお前は、獅子が奮迅するとき全力を挙げて飛躍するという話に学んだらよい、また、黒い亀が逆立ちしてじりじりと懸命に樹に登る話に学んで、進み退く省察の活(はた)らきを極めなければならないのだ。嗣法というものにはこのような力が求められるのだ。『現代文訳 正法眼蔵3』石井恭二訳 河出書房新社河出文庫 ISBN:9784309407210 page287

曲亭馬琴(1767-1848年)『南総里見八犬伝』

(前略)忠孝無二に道節が、獅子奮迅の怒もて、頻りに進む陽の太刀を、終には陰に閉ぢかねたる、(後略)

第五輯 巻之三 第四十五回 ISBN:97840030224369 page103

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA