雁は蘆を銜みて網を捍ぎ、牛は陣を結びて以て虎を卻く

かりはあしをふくみてあみをふせぎ、うしはじんをむすびてもってとらをしりぞく

【意味】

雁は蘆をくわえて猟師から網をかけられないように工夫するし、 牛は集まって陣形を作り虎の襲撃を退ける。

鳥獣はそれぞれに自らを守るために知恵を備えているということ。

【出典】『尸子(しし)』下

【類】

蘆を銜む雁 あしをふくむかり

【参考文献】

成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

【猫的解釈】

自作キャットタワーの上の猫

【雑学】

トラの狩猟法

今泉忠明著 『動物の狩りの百科』 によれば、トラの獲物の殺し方は以下の通り。

  • 鼻づらを咬んで窒息させる。
  • 喉を咬んで窒息させる。
  • 骨髄神経を犬歯で切断する。

そして、狩猟法はこう説明されている。

トラの狩りはライオンとはちがう。ライオンのように獲物をかなりの距離、高速で追うことは稀だ。ほとんどの場合、わずかな距離を追跡して襲いかかる。十分に獲物に近づくまで忍び寄る。このとき体の縞模様が役立つ。そして、ダッシュして獲物の側面か後方から襲う。トラの一跳びは10mに達する。獲物の上にのしかかろうとする。それから引き倒して喉に食いついて窒息させるか、頸の後ろからの一咬みで脊髄神経を切断する。

体の縦縞を利用して隠れながら、すぐ近くまで忍び寄る狩りなら、牛がトラに気付いて陣形を作るヒマなんかなさそうだ。 またもし牛が陣形を作るとして、牛の体のサイズを考えれば、それはある程度開けた土地でないと無理なのではないだろうか。 オープンフィールドに集まった牛の群れを、賢いトラが、そもそも襲おうなんて思うだろうか。

あるいは、この“陣”とは、単に“群れ”という程度の意味かもしれない。 それなら良くわかる。

ところで、子供の頃に見た絵本には、シマウマの群れがお尻を外側に美しい円陣を作ってライオンを防衛する絵が描かれていて、私はそれを素直に信じたものだった。

「円陣の中央にはシマウマの子供達が集められて守られています。 大人のシマウマたちは、ライオンが近づくと、その強力な後ろ足で ライオンを蹴って追い払います。 さすがのライオンもシマウマに蹴られると大けがをしてしまいます。」

とかなんとか説明されていたと思う。

でも大人になった今、これはウソだと思う。

シマウマがライオンにお尻を向けて円陣を作っているところなんて、写真でも映像でも見たこと無い。 そんな物珍しい映像、もしその話が本当なら必ず誰か撮るはずと思うのだ。 しかしどの映像でも、ライオンに襲われたシマウマは逃げまどうばかり、円陣なんか組む様子はない。

【参考文献】

後ろ足で掻く猫

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