虎の子は地に落つれば牛を食う気あり/虎豹の駒は食牛の気あり/獅子は生まれて三日にして虎を食う気あり

とらのこはちにおつればうしをくうきあり
虎子地に落ちて牛を食らうの気あり こしちにおちてうしをくらうのきあり

こひょうのくはしょくぎゅうのきあり
食牛の気(牛を食うの気 / 呑牛の気)しょくぎゅうのき(うしをくうのき / どんきゅうのき)

ししはうまれてみっかにしてとらをくうきあり

【意味】

虎や豹の子は、幼いうちから牛を食うほどの気力を持っている。 あるいは、獅子の子は生まれて三日で虎さえ食わんとする気力を持っている。

大人物は幼少のときから常人とは違っているということ。 才能・知恵の優れた人は幼児のうちからその素質の一端を見せるというたとえ。

【類】

蛇は一寸にして人を呑む じゃはいっすんにしてひとをのむ

栴檀は二葉より芳し せんだんはふたばよりかんばし

竜は一寸にして昇天の気あり リゅうはいっすんにしてしょうてんのきあり

【参考文献】

成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

【猫的解釈】

子猫

この子は生後3日よりもう少し年上です。2週間くらい?

大人猫に抱き込まれる子猫

【雑学】

ライオンとトラ、どっちが強い?

百獣の王・ライオンと、密林の王者・トラ。 もし戦えばどちらが強いのだろうか?

小原秀雄氏の昔の本で『猛獣もし戦わば』という面白い小本がある。 その中で、どちらが強いか、18ページも使ってまじめに検討している。

自然状態で戦うことはまずあり得ないそうだ。 ライオンは群れを作って草原で暮らすのに対し、トラは単独で密林に住む。 昔のインド大陸では生息地が重なっているようで、実はきちんと住み分けていたのである。

もしそこを無理矢理、出会ったと仮定したところで、ライオンの群れに挑むようなバカなトラなんかいないし、トラを捕食しようと狙うほどバカなライオンも考えられない。

傷ついたらおしまいの弱肉強食の世界、そんな損なことをする野生動物はいないからだ。

しかし人間というのはどうしようもない存在で、ローマ帝国の時代から無理矢理、ライオンとトラを戦わせては見せ物にした。 その結果も勝ったり負けたりだったそうだ。

ライオンとトラ、持っている武器も力も、ほぼ同じ。 シベリアトラなど北方の大型種を連れてくればトラの方がわずかに大きいけれど、ライオンの方が頭骨が少しだけ頑丈で、しかもタテガミで急所を保護されている。

結局、小原氏も「1対1なら五分五分」と結論している。 なんだつまらない、なんて言わないように。 相撲界だって横綱は二人いる方が面白いのだから。

トラとライオンをもっと徹底的に比較したいなら、もう1冊面白い本がある。

『トラvsライオン-百獣の王決定戦シミュレーション』 著者は實吉達郎氏。

ローマはコロッセウムではどちらが優勢だったか?サーカスでは? 動物園では?

その他、ライオンとトラの能力の比較、「人喰い」はどちらが多かったか、さらに、ヒグマ・ゾウ・ヒョウ・ジャガー・サイ・カバなど、あげくは絶滅獣サーベルタイガーまで引っ張り出して、これでもかと論じている。

1994年発行と少し古い本だが、興味のある方は、手間をかけて探し出す価値のある本だと思う。

ライオンとヒョウ・チーター他ではどれが強い?

アフリカにはライオン以外に色々な肉食獣が生息している。 多少ともライオンと対抗しうる(=獲物が重なる)肉食獣といえば ヒョウ、チーター、ブチハイエナ、チャイロハイエナ、シマハイエナ、リカオン。 ジャッカルやラテルは獲物の残り物をすくねたりはするが ライオンと戦えるほど大きくはない。

小原秀雄 『ライオンはなぜ「人喰い」になったか』 によれば、 一番強いのはやはりライオンのグループ。 次がブチハイエナおよびリカオンのグループ。 3位が雄ライオン(単独)、4位が雌ライオン(単独)、 5位がヒョウ(単独)およびチーターのグループ、 以下、ブチハイエナ(単独)、チャイロハイエナ、 チーター(単独)、リカオン(単独)、シマハイエナと続く。

つまり、1対1なら、ライオンが常に勝つ。 さすが「百獣の王」ではある。

しかし、攻撃力では強いライオンも、防禦の面では ゾウの成獣には負けるという。 体の大きさが違いすぎるから、当然といえば当然だろうけれど。

これも実に面白い本ですから、もし手に入ればぜひお読み下さい。

【参考文献】

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