虎は飢えても死したる肉を食わず

とらはうえてもししたるにくをくわず

【意味】

虎はたとえ飢えても死んだ動物の肉は食べないという俗信から、潔白な人は、どんなに困窮しても不正な財貨は受け付けないということ。

【類】

鷹は死すとも穂は摘まず たかはしすともほはつまず

渇しても盗泉の水を飲まず かっしてもとうせんのみずをのまず

【参考文献】

成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

【猫的解釈】

飼い猫は飢えても餌探しの術を知らず

飼い猫は飢えても餌探しの術を知らず

だから、安易に捨てないでください。飢え死にしてしまいます。

【雑学】

虎の耳は食べられる

虎の耳は食べられるし、薬用にもなる。 といっても、ネコ科のトラではなく、植物の話。

「虎耳草(こじそう)」は「ユキノシタ(雪下)」の別名である。 ユキノシタ科、高さ20~50cm。 本州・九州・四国の、湿った土地に普通に見られる。 初夏に、「人」の字型の、小さな白い花をつける。 常緑で、花茎には葉はない。

この、虎の耳型の葉が食用にも薬用にもなる。

柔らかくてきれいな葉を選んで摘み取り、低温で天ぷらに。具を挟んで挟み揚げにも。 そのほか、和え物や汁の実に。

薬用としての使い方は、火傷や腫れ物に、生の葉をもんで貼り付ける。 また絞り汁は熱冷ましやひきつけに効くそうだ。

猫が食い散らかしたお饅頭

うちの猫の食い残し。包装紙を器用に開けて中身だけ食べている。

口が綺麗なのはトラではなくウンピョウ

ウンピョウという動物をご存じだろうか。

雲形模様の、とても美しい中型ネコ科である。 頭胴長は60~100cm、尾の長さが55~90cm。 体重は16~23kg。生息地は東南アジア。

このウンピョウが、食べ方が綺麗だというのである。

自分が殺した獲物の新鮮な内蔵や赤肉を食べ、そのまま立ち去る。 又戻ってきて腐肉を食べたり、他の肉食獣の獲物を横取りしないという。

それに比べ、ライオンやヒョウ、オオカミ、ハイエナなどの食べ方は
「一物も余さず屍肉でも腐肉でも骨でも食い、 寸刻の油断もせず盗んでも食うという、こすからい」
食べ方なのだそうだ (『人類はいつから強くなったか』 実吉達郎)。

そして、このウンピョウの呑気さ贅沢さ、および、ウンピョウの牙が体の大きさにわりに大きいことから、ウンピョウを剣歯虎(スミロドンなど)の子孫と考える人もいる。

剣歯虎が絶滅したのは、人類による狩猟圧や環境破壊のためだそうだ。 スミロドンの餌となる大型哺乳類をヒトが根絶やしにしてしまった上、火で野山を丸裸にするなど環境破壊がすさまじく、口が綺麗な剣歯虎たちは、1万年前くらいまでがんばっていたものの、ついに力尽きた。

現生のライオンやトラが生き残れたのは、屍肉や腐肉でも、盗肉でも食べる貪欲さゆえだという。

せっかく生き残ったウンピョウたちも、絶滅危惧種に指定されている。 スミロドン達のためにも、ウンピョウを絶滅させたくない。

ウンピョウ↓

ウンピョウ

この写真は、【無料写真素材TYS>よこはま動物園ズーラシア】よりお借りしました。著作権は写真撮影者にあります。

【参考文献】

『四季の山菜 採り方と食べ方』  畔上能力監修 成美堂出版

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