猫脚(家具等の)

ねこあし。「猫足」とも。

猫脚の椅子・テーブルと本物の猫

意味

日本語大辞典(第二版)、講談社

猫の足に形を似せた、机などの足。

広辞苑(第六版)、岩波書店

膳や机の脚の形状の一つ。上がふくらみ、中がややすぼまり、下が円い、猫の脚に似たもの。

【英語】Cabriole leg

cabriole leg is one of (usually) four vertical supports of a piece of furniture shaped in two curves; the upper arc is convex, while lower is concave; the upper curve always bows outward, while the lower curve bows inward; with the axes of the two curves in the same plane.

と、西洋では猫脚の家具の足の向きは、常に外向き(地に接する丸みが外を向いている)に作られるようです。

一方、日本では、昔のお膳など、地に接する丸みが内側を向いている猫脚も珍しくありませんよね。上記の『広辞苑』の図でも外向き・内向きの両方が描かれています。

猫の脚に形状さえ似てれば、ガニ股か内股かなんて関係無い、ということで!

↓巨匠エドゥアール・マネ(Édouard Manet, 1832 – 1883年、フランス)の油絵『ナナ』に描かれている家具の脚も、よく見れば、猫脚。

猫的解釈

猫の足はあまりにデザイン的にカンペキなので、ニンゲンが真似をするのニャ。困ったものニャ。どうにゃ、この魅力的ニャこと!!

雑学

曲亭馬琴(1767-1848年)『南総里見八犬伝』に、「猫脚」という語が出てきます。酒宴の様子が描かれた一節です。ずいぶん昔から使われてきた言葉なんですね。

秋の日なれば短くて、はや黄昏になる随(まま)に、奥にざざめく衆僕(しゅぼく)のさかもり、主翁(あるじ)と一席(ひとつむしろ)でも、恩賞免許の盃なるを、今這折(このをり)に喫(のま)ずもあらば、何の時を期すべきやとて、かたみに挑む献酬に、沙量(げこ)も浮かれて高笑いして、酒菜(さかな)を暴(あら)す猫脚の、折布(をしき)空しくなるまでに、くらひ尽して又くらふ、箸(はし)さへ暇なかりけり。

【管理人注】変換できない旧漢字は読み(ひらがな)で表記しました。

『南総里見八犬伝』第八輯 巻之五冊 第八十四回 ISBN:4003022459 page31

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