ねこまんま/ねこめし/にゃんこめし

意味

  1. ご飯にかつお節と醤油をかけたもの。関東や東北地方で多くつかわれる。
  2. ご飯に味噌汁などをかけたもの。関西で多く使われる。
  3. 一般に、ごはんの上に何かを単純に乗せたり汁物をぶっかけたりしただけの、気取らない簡便な食事のこと。

『広辞苑』第六版

ねこめし【猫飯】:猫に与える飯のように、味噌汁をかけたり削り節を散らしたりした飯。
(注:私が持っている広辞苑には「ねこまんま・にゃんこめし」は載っていません)。

同義語

ご飯にかつお節=おかか御飯(おかかごはん)

ご飯にお味噌汁=汁かけ飯(しるかけめし)、ぶっかけ御飯(ぶっかけごはん)、犬飯(いぬめし)。

【参考文献】

成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

猫的解釈

ねこまんま=猫の食事とは、美味しくなくちゃいけないもの。でも白いご飯にかつお節とか乗せただけなんて、不味い栄養も偏っているから、ほとんどの猫が人間にゆずっちゃう。

猫飯=上に同じ。

にゃんこめし=上に同じ。

キャットフード(総合食)=ねこまんまより、もっとずっと美味しくなくちゃいけないもの。栄養的にもすぐれてなきゃいけない。

猫用おやつ=さいこうに美味しくなくちゃいけないもの。

現代の猫でもかつお節は好きです。うちの猫はこのような「ごはん」を見つけると、かつお節だけをなめとって、白米は食べません。

お味噌汁といっても、昔はニボシやカツオブシで出汁をとっていましたからね。猫の嗅覚をそれなりに刺激したのでしょう。この画像の味噌汁は昆布と干しシイタケで出汁をとったものなためか、うちの猫はちらっとにおいをかいだだけで興味を失いました。

「ねこまんま」レシピ本

簡単で、子どもでも作れて、フードロスの解消にも役立つもの。それが「ねこまんま」。最近はレシピ本まで出版されています。

猫まんまが「お行儀悪い」と言われることがあるのは何故?

山崩れを連想させるから

昔の工事現場や鉱山労働者等の間では、汁かけご飯は「土砂崩れを連想する」と嫌われたそうです。

●「味噌をつける」につながるから

木こり・馬方・マタギ等の間では、「仕事に味噌をつける」の連想から嫌われたそうです。なお「味噌をつける」とは、味噌が食器につくと汚れて見苦しいことから「しくじって恥をかく、面目をなくす」という意味。

お椀を口につけて肘を張って掻っ込む形になりがちだから

昔、女性は慎まやかで控えめであるべきとされることが多かったので・・・

 

ところで、禅宗の食事作法では、食器を顔の高さまで持ち上げて食します。ご存じの通り仏教は菜食ですが、植物といえども命あるもの、その貴重な命をいただくのに食器を低く持っては「命を見下す」形で失礼だ、というわけです。そして食事の最後にはお茶や白湯を注いで、器についた御飯粒も沢庵等でぬぐいとってきれいに飲み干します。そういう意味では、左のおしとやかに見える女性の方が実は傲慢で、右のねこまんま女性の方が命を大事にする女性?

見た目が残飯みたいだから

昔の犬猫のごはんは残飯に汁をかけたものが主でした。ですから、いやしくも人間様が犬猫のような真似をするな、みたいな気持ちで見られたのかもしれません。

でも、汁の方にご飯をいれることはうるさく言われなかったり、雑炊やお茶漬けは立派な料理だったりと、矛盾を感じます。

噛まずに飲み込んでしまうから

子供に対して。しっかり良く噛んで食べる方が消化に良いし、満腹感も得られることから、しつけ上、子供に対し、猫まんまはお行儀が悪いから止めろと教えるご家庭があるようです。

「ねこまんま」は猫の食事には不適切

ネコは、元来、純肉食獣です。お米にかつお節をかけただけではほとんどが炭水化物、猫に必要なタンパク質が圧倒的にたりませんし、そこに醤油をかけたら猫には塩分過多となります。お米に味噌汁も同じ。タンパク質不足、炭水化物過多なだけでなく、塩分も過多です。ミネラルバランス等も猫には不適切です。昔の猫が人間の残飯で生きていけたのは、ネズミなどの小動物を自分で捕食し栄養を補うことが大前提だったからでした。現代の住環境で「ねこまんま」だけを与え続けたら病気になってしまいます。

愛猫にはキャットフード(総合栄養食表示のあるもの)を与えましょう。

「ボクチンがいまたべているのは、子猫用離乳食にゃ」

ちなみに、昔の日本で猫に実際に与えられていた「ねこまんま」

小説などで描写されている猫の食事内容です。

内田百閒『贋作吾輩は猫である』より

台所戸棚の奥をがたがた云わせて、お神さんは藍模様の大きな皿を取り出した。成る程、縁が欠けている。その上に麦の沢山混じった御飯を盛り、上から鍋の底に残った汁をかけ、紙袋に手を突込んで煮干しを五六匹掴みだしてその上に振りかけた。(中略)

「そうそう、まだあれが有ったっけ」と口の中で云いながら、お神さんはかますの干物の頭を二つ取り出して、藍模様のお皿の御飯に載せてくれた。

「さあさあお上がり。お待ち遠さま」と云った。

福武文庫 ISDN:9784828832449 page7-9

谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のおんな』

今でこそ鶏卵は安価ですが、昔は病人に食べさせるような貴重な物でした。そんな高級食材を猫に与えている様子が描かれています。

(前略)彼女(=猫のリリー)のために専用の座布団が二枚も設けてあるばかりではない、たった今、お昼の御馳走に生卵を貰ったと見えて、きれいに食べつくした御飯のお皿と、卵の殻とが、新聞紙に載せて部屋の片隅に寄せてあり、(中略)

奇妙なのはあの皿に残っている卵の殻だった。彼女(=飼い主の品子)は自分で食い扶持を稼いでいるので、決して楽ではないであろうに、貧しい中でもリリーに滋養分を与えると見える。

新潮文庫 page119-122

日本文学史上最古のねこまんま?

宇多天皇(867~931年、第59代天皇在位887~897年)が在位中に書き残した『寛平御記(宇多天皇御記)』に、愛猫に関する一節がありますが、その中にこんな文章があります。

毎旦給之以乳粥。

【書き下し文】毎旦乳粥を以つて之に給ふ。

【口語訳】毎朝、この猫に乳粥をあげている。

注:書き下し文・口語訳ともにnekohonによる

「乳粥」とは、牛乳粥のことではなく、今でいえばヨーグルトのようなものでした。平安時代の当時は大変な高級食材。そんな貴重なものを毎日与えられていた猫、どれほど天皇に大事に愛されていたか、この一文だけでわかるというものです。

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