猫間障子

ねこましょうじ

【意味】

『広辞苑 第六版』岩波書店より

ねこま【猫間】

①扇の親骨の透彫(すかしぼり)の一種。或いは円く或いは補足連続して掘りすかし、猫の瞳のようにさまざまに形をかえたもの。

開閉できる小障子が組み込まれた明かり障子。猫間障子。

※広辞苑には「猫間障子」での見出しはありません。

【もっと詳しく】

「猫間障子」は、日本の伝統的な建具の一種で、起源は江戸時代までさかのぼります。障子の一部にさらに小さな障子がはめ込まれていて、そこが開閉できるようになっています。最近の猫間障子はガラス付きが多いですが、昔はガラスはなく、風も、名の通り猫も通り抜ける事ができました。「猫間」とはもともと猫がいる部屋という意味があり、猫が障子紙を破らないよう小さな扉をつけたのが名前の由来とも言われています。

組み込まれた小障子の開閉の仕方は、次の3通り。

  1. 摺上猫間障子(大阪猫間障子)=上げ下げ障子とも。上に摺り上げるタイプ。上げた障子が落ちないように縦桟には「猫バネ」と呼ばれるバネがついています。
  2. 片引猫間障子(関東猫間障子)=片側に引いて開けるタイプ。ガラスが無ければ、まさに猫の通り抜けにうってつけに見えます。
  3. 引分猫間障子=左右に引き分けて開けるタイプ。

「猫間障子」と「雪見障子」の違い

本来は、猫間障子は開閉できる障子が取り付けられているもの、雪見障子は下半分がガラス張りになっているものを指したそうです。しかし最近はその区別があいまいになってきていますので、注文する時は、ガラスの有無や、小障子の有無及び形状をしっかり確かめてから導入しましょう。

【猫的解釈】

「ねこましょうじって、こういうことだよね!」

「それとも、こっち?」

茶白猫トロと破れ障子

↑のような惨事をさけるには

【プラスチック障子紙】というものがあります。障子紙の間にプラスチックを貼り合わせたもので、ペットの引っかきキズに強い障子紙となっています。

「障子」雑学

「障子」のもともとの意味は、室内の間仕切りのため、または窓や縁の内側にたてる建具の意味。「衝立(ついたて)障子」「襖(ふすま)障子」「明かり障子」等があるが、現代において「障子」といえば「明かり障子」のこと。

【参考文献】

成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

文例

松尾由美『ニャン氏の童心』

「こういう障子、何というか知ってる?」

実際に動かして、障子の中に小窓のような空間を開けてみせ、仁湖が宴にたずねる。

「雪見障子―――じゃないですよね」

「それは下のほうにガラスがはまっているやつ」仁湖は片手を振って、「正解は、猫間障子」

「えっ、猫又?」

「じゃなくて、猫間」仁湖は猫ににていなくもない大きな目をすぼめて訂正する。「猫が通り抜けられる隙間ということ」

ISBN:9784488439095 page145

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