猫っ毛
ねこっけ
意味
『広辞苑』
猫の毛のように、やわらかい頭髪(人間の)。
【参考文献】
『成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら
猫的解釈
さいっこぉに、上等で、やさしくて、やわらかくて、ふわふわで、すてきな毛皮のことにゃ。
毛の太さ
1.猫の毛について
ネコの被毛は、ひとつの毛包から、数本~数十本もの毛が生えている。(ヒトではひとつの毛包から1本だけ。)
中心部に生える長くて太い毛は「主毛」と呼ばれ、1~6本。それを取り囲むように生えている細くて短い「副毛」は、5~20本。さらに副毛は、毛先の下にふくらみがある「オーンヘア」と、うねりがある「ダウンヘア」に区別される。なお、被毛の呼び方には多くのバリエーションがあり、「主毛」は「上毛」「一次毛」「オーバーコート」「ガードヘア」等、「副毛」は「下毛」「二次毛」「柔毛」「アンダーコート」等ともよばれる。
さて、毛の太さについて。
ペット用品で有名な【PEPPY https://www.peppynet.com/】のサイトによれば、ネコの毛の太さは、
- 上毛(主毛)=0.04mm~0.08mm
- 下毛(副毛)のオーンヘア=0.025mm~0.04mm
- 下毛(副毛)のダウンヘア=0.01mm~0.02mm
(※詳細は「じゃれ猫ルーム11時間目」をご覧ください。)
2.人の毛について
ヒトの毛(頭髪)の太さは、人種や年齢によってかなりちがってくる。
【花王株式会社 ヘアケアサイト】や【公式 リーブ21】によれば、日本人女性の髪の太さは、平均約0.08mm。欧米人女性の平均は約0.05mmで、日本人の髪は平均して欧米人の約1.5倍の太さがあるという。また、日本人の髪の断面図はほぼ円形であるのに対し、細くてウェーブがかかった欧米人の髪は楕円形だとか。
花王《各国・地域女性の毛髪の太さ(短径)平均》※カッコ()内は調査対象人数
- 日本(7580人)、台湾(957人)=約0.05mm~約0.15mm、平均約0.080mm
- フィリピン(7843人)=約0.070~0.075mm
- メキシコ(148人)=約0.065mm~0.070mm
- アメリカ(574人)、ドイツ(595人)=約0.050mm~0.055mm
一方、髪の本数は、日本人は、多い人は約13~15万本、少ない人は6~7万本、平均10万本くらい(1平方センチメートルに150本くらい)。髪が細い欧米人は本数は多くて、平均12~14万本も生えているという(1平方センチメートルに200本以上)。
また、同じ人でも年齢によって太さが違ってくるのは御存知の通り。
髪がもっともよく成長する14歳~24歳までは髪は太くなり、その後はだんだん細くなる。髪の最盛期は、男性は20歳前後、女性は25歳前後だそうな。
(※ヒトの髪の毛について、詳細は【花王株式会社 ヘアケアサイト】・【公式 リーブ21】をご覧ください。)
3.猫の毛と日本人頭髪の比較
日本人の頭髪の太さは平均約0.080mmということから、
- 主毛の中でも最も太い毛、約0.08mmとくらべれば、猫と人はやっと同じくらい
- 主毛の細い毛、約0.04mmだと、人の約半分
- 下毛(副毛)オーンヘア、約0.025mm~0.04mmは、人の毛の約1/3~1/2
- 下毛(副毛)ダウンヘア、約0.01mm~0.02mmは、人の毛の約1/10~1/4
猫の毛の細さを実感するには、ノミ取り櫛を自分の頭に当ててみるとよいかも?私が若いころは、櫛の歯に毛がぜんぜん通りませんでした。通る毛が出現したとき、自分の年齢を実感(汗)。
文例
宮部みゆき『あやかし草紙』
「(前略)あ、小旦那、手前は今でもそうですが、猫っ毛で髪が少なくってね」
角川文庫 page40 ISBN:9784041089811
確かに平吉の髷は小さく、鬢もたぼも厚みがない。