猫板

ねこいた

意味

猫板(ねこいた)とは、長火鉢の端の引き出し部分にのせられた板のこと。そこは暖かいので、よく猫がその上に乗ってうずくまることから「猫板」の名がついたといいます。

長火鉢とは

『広辞苑』第六版(岩波書店)より

長方形の箱火鉢。ひきだし・猫板・銅壺(どうこ)などが付属し、茶の間・居間などに置く。

江戸時代の火鉢について

『ちょっと昔の道具たち』イラスト:中林啓治、文:岩井宏貫(河出書房新社)より

(前略)火鉢は炭火を使うため、囲炉裏とちがって煙が出ないので座敷向きであったが、部屋全体を温める火力がなく、せいぜい手足を温める程度であった。しかし、五徳をおいて鉄瓶をかけて湯を沸かしたり、鳩と呼ばれる酒の燗器の底を灰の中に埋めて酒の燗をするなど、さまざまに使われた。

江戸の町民のあいだでは、用途によって使い分ける足焙り、手焙りなどの小型火鉢や、主人用の長火鉢、燧(ひうち)道具や喫煙具を収納する引き出し付きの箱火鉢、食卓を兼ねられる火鉢などいろいろな改良がほどこされるようになり、ストーブが普及するまでは、家庭にはかならずいくつかの火鉢があった。

ISBN9784309727059 page 80-81

図にありますように、京阪の長火鉢「関西長火鉢」には小皿等をおける縁がある形、江戸の長火鉢「関東長火鉢」には縁がない形になっています。

歌川国梅『新ぱん猫世帯ままこしはへ』

明治18年(1885年)。主人(猫)の家族の食事を作るために多くの使用人(猫)が働いている、楽しい猫絵から。猫たちの奥に長火鉢が見えます。

本の詳細はこちらのページをご覧ください。

「猫板」が出てくる文例

朝井まかて『銀の猫』

『銀の猫』は、江戸時代の高齢者介護という、珍しいテーマを扱った小説です。舞台は江戸でありながら内容はまさに現代の介護問題につながるもので、誰でも興味深く読めるでしょう。全体的に優しさに満ちていて、読み終わったあとの味は爽やか。

その作品の中で何回も「猫板」が出てきます。以下、最初に使われた例をご紹介します。

五郎蔵が茶を淹れて呼んでくれたので、長火鉢の前に写って膝を畳んだ。五郎蔵はなぜか急須を持つのが好きな男で、茶葉にもいろいろと凝っているようだ。お徳はいつも神棚の前でどっしりと坐っていて、亭主が「ほい、お前も」と猫板の上に差し出した湯呑をさして有難がりもせず、当たり前のように持ち上げている。

文春文庫 9784167914554 page 11

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