虎穴龍潭
こけつりゅうたん
【意味】
虎が住む穴、竜が潜む淵。
今の日本では使われていない四字熟語のようだが(私が持っているどの辞書にも載っていない)、曲亭馬琴が使っているし、検索したら中国語等で約72,500件もヒットしたので(2021/2/28現在)、ここに記す。
「虎穴」は、虎がすんでいる穴、転じて、きわめて危険な場所。
「潭」は音読みで、タン、シン、ジン、訓読みで、ふち、 ふかい。水を深く湛えたところ、底が深くよどんだ淵、転じて、容易には抜け出せないような苦境。
【猫的解釈】
「穴」は好きだけど、大きなトラさんはちょっとおっかないし、「潭(淵)」はもっとおっかないニャ。落っこちたら大変にゃ。
【文例】
曲亭馬琴(1767-1848年)『南総里見八犬伝』
思ひ内にあるものは、竜華(りゅうげ)の三会(さんえ)に値ふといへども、凡夫出離(ぼんぷしゅつり)の直路(ちょくろ)をしらず。覚めて復(また)悟るものは、虎穴龍潭に在りといへども、瑜迦成就(ゆかじょうじゅ)の快楽(けらく)多かり。
岩波文庫『南総里見八犬伝(一)』第二輯 巻之一 第十二回 ISBN:9784003022412 page207
『南総里見八犬伝』(なんそうさとみはっけんでん、旧字体:南總里見八犬傳)は、9輯98巻106冊の長編伝奇小説。執筆は文化11年(1814年)~天保13年(1842年)。今でも根強い人気を誇る大名作です。