虎視眈々
こしたんたん
【意味】
虎が獲物を狙って鋭い目でじっと見下ろすように、おのれの野望を遂げるため、じっと機会を狙っている様子。
「虎視」とは、トラが鋭い目であたりを見わたすこと。
転じて、雄大な志を抱いて静かに情勢をうかがうたとえ。
「眈々」とは、恐ろしい目をしたトラが下を見下ろしているさま。
【類】
鵜の目鷹の目 うのめたかのめ
【参考文献】
『成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら
【猫的解釈】
トラ模様の猫が、膝に乗って甘えようと、じっと人間を見つめていること。
【雑学】
出典
『易経えききょう』頤い
顚(さか)しまに頤(やしな)わるるも吉なり、虎視眈々。
《訳》
(上位の者が下位の者を養うのがふつうだが、易でこの卦が出た場合は)逆に下の者に養われても吉である。ただ、トラが鋭い目で見下ろすように、下の者を監視する必要がある。
※『成語林-故事ことわざ慣用句』旺文社より引用
トラの目
猫の瞳孔は、明暗によって大きく丸くなったり、縦に細長くなったりして、光の量を調節する。
さて、トラの瞳孔はどちらが正しいだろうか。
- ネコの仲間なのだから、当然、縦に細くなる。
- 丸く小さい点になる。
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正解は(2)。 トラやライオンの瞳孔は、イエネコと違い、円形に小さくなる。
ところで、日本に生息する動物で、おそらくもっとも恐ろしいのはスズメバチだろう。 動物の襲撃による年間死亡者数がずば抜けて多く、毎年30人前後も亡くなるそうだ。
そして多分、その次に恐ろしいのがマムシ。ハブも強力な毒を持っているが、生息地が限られていることと、沖縄の人々はハブの知識があるので、意外にもマムシの方が犠牲者数は多いらしい。(注)
マムシには、年間推定数千人も咬まれ、亡くなられる方もいるそうだ(致死率は低く、0.3~0.5%程度)。 死なないまでも、毒が入れば腫れあがって、時には何日も入院しなければならないのだから、油断禁物だ。
さて、マムシを見分ける方法はいろいろあるが、その一つに瞳孔の形がある。
アオダイショウやシマヘビは丸いが、マムシは縦長なのだ。
縦長の目を持つヘビを見たら近寄らないように。 マムシは、ヒトを追いかけてまで襲うことはないから、近寄らなければまず大丈夫。
(注)
これは、マムシ被害者総数とハブ被害者総数とでは、日本全土に生息するマムシの被害者総数の方が多いという話です。 60cm程度のマムシに対し、ハブは2mを越えるため、ハブの方が毒の量がずっと多く、単体としてはハブの方がマムシより恐いのです。 万が一でもハブに打たれないようご注意下さい。
*こちらのページで、猫がヘビに咬まれた場合について書いています。 よしければどうぞ。
【文例】
熊谷達也「漂泊の牙」
いつだって、わたしはそうなのだ。何かで劣勢に立たされたり、不本意な状況を前にすると、必ずもう一人の自分が隙を窺っている。苦境を挽回するために、自分にとって有利な方向へと運ぶために、もう一人の自分が虎視眈々とチャンスを狙っている。
p.330
渡辺淳一『花埋み 』
好寿院を卒えた吟子は相変わらず高島家らの家庭教師を続けながら、医術開業試験を受ける機会を虎視たんたんと窺っていた。
ここで当時の医制について簡単にふれると、明治十六年十月二十三日太政官布達第三十五号、明治十七年一月一日より施行の「医師免許規則」によれば、開業資格は次のようになっている。
第一条、・・・
新潮文庫 p192
町田康『猫にかまけて』
しかし卑屈であることが遠慮深さにつながるかというと、そうではなくむしろまったく逆といえ、あわよくば、すきあらば、ココアや自分の見ていない隙をつけ狙ってひとり旨い飯を多く食ってやろう、と考え、虎視眈々じゃない猫視眈々と餌の桶のおいてある界隈の様子をうかがっているのである。
講談社文庫 ISBN:9784062758956 page75