猫の子一匹いない
ねこのこいっぴきいない
【意味】
生きて動くものが何も見られない。 誰もいない。 あたりに全く人影がない。
【類】
人っ子一人いない ひとっこひとりいない
【参考文献】
『成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら
【猫的解釈】
あまりに寂しく淋しい家庭のこと。 寂しすぎてとても人が生きていけるような状況ではないこと。
「猫の子は、すぐに大人猫になっちゃうから、猫の「子」がいなくても不思議じゃないよね?」
「それに、子猫は小さいから、もしいても隠れるのがうまいし」
「ニンゲンは暗いと何も見えないしね」
「だから、猫の子一匹いないなんて、変なことわざが生まれたのかにゃあ」
【雑学】
昔の農村は猫だらけだった
民俗学者の早川孝太郎氏が昭和12年に越中五箇山(富山県東礪波郡)の西赤尾という集落で調査したところでは、48戸のうち40戸は猫を飼っており、2匹以上飼っている家も多いので、ほぼ戸数と同じくらいの猫はいるという結果だった。いっぽう犬の方は10頭にも満たないということだ。この比率は早川氏が全国およそ50カ所の集落で調べたものとほぼ一致している。犬は離れ小島などではいないところがあるが、猫はどこへ行っても必ず飼われていたという。
(『猫は犬より働いた』 p.188)
昔の日本の農村は、猫だらけだった。 農家が一家総出で野良仕事に出かけた後も、 猫たちは家のまわりで昼寝したりパトロールしたり、 のんびり遊んでいた事だろう。 昔は猫に不妊手術なんかしなかった(できなかった)から、 シーズンともなれば子猫だらけだったかもしれない。
そんな昔の人々にとっては、人の姿は見えずとも 猫はいるのが普通であったに違いないのだ。
その猫が一匹もいないというのは、 かなり不気味な光景と認識されたのではないだろうか。 だからこんな諺が生まれたのではないだろうか。
では、今の日本はどうだろうか?
ペットフード工業会の調査によれば、平成19年度(2007年度)に 日本で飼育されている猫の数は、
内猫 約10,189,000頭
外猫 約 2,815,000頭
合計 約13,004,000頭 (飼育率14.4%)
となっている。
猫の数は犬より多い(犬は約12,522,000頭)けれど、 完全室内飼いが増えたため、昔ほど猫に会わなくなった。 そのかわり、昔は無かった自動車やバイクがあふれている。今ことわざを作るとしたら、差し詰め、「自転車1台見当たらない」とかなるのかニャ?
その後、この子は優しい里親様のもとへ婿入りしました♪