猫より増し/子供も猫よりまし
ねこよりまし
こどももねこよりまし
【意味】
幼い子供など、頼りなく役に立ちそうにないが、 猫よりは良い、というたとえ。
【参考文献】
『成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら
【猫的解釈】
失恋は悲しい。 恋人に去られると、とてもつらい。 でも愛猫を失うよりはマシ。
だって、新しい恋をすれば、 新しい恋人をまた得られるけれど、 ボクは世界に2ニャンといないからね。
失恋は猫を失うよりは幸せ、って意味の諺にゃ。
だから、お願い。
うっかり玄関を開けっ放しにしたり、 窓の鍵をかけ忘れた結果、 ボクたちが外に出て迷子にならないよう、 じゅうぶん気をつけてニャ!
![小さなストーブに群がる猫達](https://nekojiten.com/kotowaza/img/nekoyorimashi2.jpg)
君たち、もう春なのに、そんなに寒いの?
「どーして おおきいほうのヒーターを つけてくれないニャ!ケチ!」
【雑学】
猫の方がまし、も成り立つ?
養蚕は、貧しい農村にとっては、重要な産業だった。 どれほど大切だったかは、虫に向かって
「お蚕様」
と、「お」と「様」付けで呼んだことでも窺われる。
養蚕が盛んだった群馬県では、 こんな“桑つみ唄”が歌われていたという。
蚕さい中に嫁御に出られ 貰わにゃなるまい とら毛猫
大切な労働力だった娘が嫁に行ってしまって、 という意味の他に、「ヨメゴ」は「ネズミ」の 別名でもあった。両方の意味を掛けた歌だ。
猫は、養蚕農家にとっては、人間一人と 同じくらいに貴重な労働力だったのだ。 こんな記録も残っているという。
鼠の蚕にかかる防として猫を殊に選ぶことなり。 上品のところにては、猫の価金五両位にて、 馬の価は一両位なり。」
(松浦静山『甲子夜話2』中村幸彦・中野三敏校訂、平凡社東洋文庫)
猫の価格が馬の五倍とは驚きだ。
![パソコンをする猫](https://nekojiten.com/kotowaza/img/nekoyorimashi.jpg)
猫が大活躍した例は他にもある。
明治32年(1899年)、日本にペストが上陸した。 かつて中世ヨーロッパで大流行し、四人に一人が 死んだとされる恐ろしい伝染病である。 それまでペスト禍を知らなかった日本で流行ったら 大変なことになる。
北里柴三郎博士は、ドイツのコッホ博士とともに、 日本政府に進言する。
「すべての家で必ず猫を飼うべし」
ペスト菌はネズミが媒体するから ネズミ退治に猫を、という作戦だ。 猫の値段は高騰し、海外から輸入までされた。
たかが猫と侮るなかれ。 猫作戦の効果は絶大だった。 猫たちの大活躍で、わずか4年で、 日本のペスト患者数は激減。 死者数2423名、死亡率83.3%という大きな 禍根を残したペストは、昭和5年(1930年)をもって 完全に撲滅された。
猫がどれほど人間生活に役立ったかは 須磨章著 『猫は犬より働いた』 をお読み下さい! 目からウロコの面白さデス。