君子は豹変す/豹変

くんしはひょうへんす

ひょうへん

【意味】

君子は、おのれの過ちを悟れば、すみやかにそれを改め鮮やかに面目を一新する。 その様子は、ちょうど豹の毛皮の黄色と黒の斑点が目立つように、きわめてはっきりしているということ。

転じて、人が行動や態度などをがらりと変えること。

俗に、人が態度や考え方を(多くの場合悪い方に)一変させることに使われる。

【類】

君子の過ちや日月の食の如し くんしのあやまちやじつげつのしょくのごとし

【対】

小人は面を革む しょうじんはおもてをあらたむ

【外国では】

Wise men change their mind,fools never.(英語のことわざ)

賢者は決心を変えるが愚者は決して変えない。

【参考文献】

『成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

【猫的解釈】

gifアニメ。黒白猫が豹模様に

【雑学】

出典

通常は、「君子は豹変す。小人しょうじんは面を革あらたむ。」の意味は「君子は過ちを悟ればすぐに改めるが、小人は単に外面だけを改める。」と説明されていることが多いです。しかし岩波文庫の『易経』では少し違う訳し方がされていました。

以下、全文を引用します。

『易経えききょう』離下兌上 革かく (澤火革たくかかく)

 

初九。鞏用黄牛之革。
象曰、鞏用黄牛、不可以有爲也。
六二。已日乃革之。征吉无咎。
象曰、已日革之、行有嘉也。
九三。征凶。貞厲。革言三就、在孚。
象曰、革言三就、又何之矣。
九四。悔亡。有孚改命、吉。
象曰、改命之吉、信志也。
九五。大人虎變。未占有孚。
象曰、大人虎變、其文炳也。
上六。君子豹變。小人革面。征凶。居貞吉。
象曰、君子豹變、其文蔚也。小人革面、順以從君也。

 

【書き下し文】
初九。鞏かたむるに黄牛の革かわを用う。
象に曰く、鞏むるに黄牛の革を用うとは、もって為すあるべからざるなり。
六二。已日いじつにしてすなわちこれを革あらたむ。征けば吉にして咎なし。
象に曰く、已日にしてすなわちこれを革むとは、行きて嘉きことあるなり。
九三。征けば凶なり。貞ただしけれども厲あやうし。革言かくげん三たび就なれば、孚あり。
象に曰く、革言三たび就れば、また何いづくにか之ゆかん。
九四。悔亡ぶ。孚ありて命を改めれば、吉なり。
象に曰く、命を改むるの吉とは、志を信ずればなり。
九五。大人虎変す。いまだ占うらなわずして孚あり。
象に曰く、大人虎変すとは、その文炳へいたるなり。
上六。君子豹変す。小人は面を革む。征けば凶なり。居れば貞しくして吉なり。
象に曰く、君子豹変すとは、その文蔚うつたるなり。小人は面を革むとは、順にしてもって君に従うなり。

 

【意味】
初九は陽剛居初無応、革新の時のはじめ、まだその期が熟さぬから、黄牛の革(黄は中央の色、牛は従順の動物、革は堅固の物、従って中庸従順の徳を堅持するたとえ)でわが身を固く守らねばならぬ。
〔象伝〕鞏むるに黄牛を用うというのは、まだ何かをしようとしてはならぬということである。
六二は従順中正、しかも九五に正応がある。すでに革むべき日に至ってこれを革める象、思いきって進んで事を断行しても、吉であって咎はない。
〔象伝〕已日にしてこれを革むというのは、行って嘉よいことが得られるということである。
九三は過剛不中、事に当っていささか早急に失しやすい。従って軽率に進めば凶であり、目的は貞正であっても危険である。しかし革むべしとする衆議が三度までまとまれば、事を断行しても人から孚まこととされるであろう。
〔象伝〕革言三たび就れば、もはや事を断行する以外にどうしようがあろう。
九四は陽剛居柔、暗いが不正だから本来は悔あるべきだが、陽剛の徳をもって革めようとするのだからその悔も消え去るであろう。だから誠意をもって天明を革めるという大事業に当たれば、吉である。
〔象伝〕天命を改めても吉だというのは、人々がその志の正当なことを信じてくれるからである。
九五は陽剛中正、天下を革新し大事業を完遂して立派な功績をあげるべき名君の象。すなわちこのような大人は、虎が夏から秋にかけて毛を抜け変らせ、たちまちにしてその毛皮の美しさをますのにもたとえられる。もはや改めて占うまでもなく、人から孚とされるであろう。
〔象伝〕大人虎変すというのは、その毛の文様もようがさらに炳あきらかに輝くことである。
上六は柔順居正、革命成就の秋ときであるから、その事業に参与した君子――有位有徳の士人の功業は、豹の毛が秋になって美しく変わるように輝かしい。また無位無徳の小人ならば面持おももちを革めて、新しい君主のなすところに随従すべきである。ただし革命の事業は重大なことであるから、さらにそれをおしすすめてしばしば民生を疲労させるようなことは凶である。じっとしてその成果を享受していれば、貞正で吉である。
〔象伝〕君子豹変すというのは、その毛の文様が蔚然うつぜんとして美しくなるということである。小人面を革むというのは、柔順に新しい君に従うことである。

 

『易経』(下)、高田慎治・後藤基巳訳、岩波文庫、1969年発行、ISBN : 9784003320129 page120-123 太字nekohon

 

ヒョウとジャガーの見分け方

ヒョウとジャガーの外見はよく似ています。

見分けるポイントは、その斑紋。 ヒョウは花の様な形であるのに対し、ジャガーは中に黒点があります。

ヒョウとジャガーの模様イラスト

注:この模様は管理人が写真を見ながら真似て描いたものです。 本物の毛皮写真ではありません。

●ヒョウ Panthera pardus

かつては寒帯のシベリアから熱帯の東南アジア、西アジアの乾燥地帯からアフリカのサバンナまでと、大型ネコ科の中ではもっとも広い生息地を誇っていた。 現在は生息地が分断・孤立化され、すでに絶滅、あるいは絶滅が危惧される亜種が多い。 頭胴長0.9~1.9m、体重28~90kg。

●ジャガー Panthera onca

メキシコ南部から中米・南米に生息。 北アメリカにいたものは20世紀に入って絶滅した。 頭胴長1.2~1.8m、体重は100kgを超える個体も。

【参考文献】


●『アニマ 』1989年9月号No.204 平凡社

猫

【豹変:文例】

熊谷達也『相剋(そうこく)の森』

人のよさそうな田舎の青年。それで描写のすべてが事足りると思っていた滝沢が、まったく違った人間に豹変していたのである。

 猟師たちに早口でまくし立てながら、矢継ぎ早に支持を繰り出す滝沢は、今まで美佐子が知っていた滝沢昭典ではなかった。凛とした立ち姿はまさしくマタギの棟梁だった。

ISBN:9874087460964  p.449

※東北地方のマタギやクマ狩りを題材とする長編小説。ストーリーの面白さもさることながら、著者の自然や動物たちに対する深い思いに感嘆せずにはいられない名著。

米原万里『ヒトの雄は飼わないの?』

獣医室に向かって急ぎながら、せっかくの規則破りの機会が失われて、ちょっとガッカリしたみたいなニーナに礼をいった。
「いやあーっ、すごい豹変ぶりでしたね。手品か魔法みたいだった。ニーナの教養のおかげで助かったわ」
「まだわからないわよ、万里さん。ここは、ロシアであることを忘れないでね」

ISBN:9784167671037 p.271

エッセイ集。知的美女の米原氏の、猫たち犬たちに対する愛情、親ばかぶりに、思わずクスリと笑ってしまいます。

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