虎威

こい

【意味】

【広辞苑】

虎が群獣を恐れさせる威力。

【大漢語林】

(1)とらの威勢。強い権力にいう。

(2)とらの両脇下の骨。この骨を身に帯びれば、邪気を払い、管理としてよく威厳を保つという。

(3)漢代、宮殿の夜景にあたった役所の名。

【関連語】

【参考文献】

成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

【猫的解釈】

とらの威?ああ、トラ猫の威力のことだニャ。

猫のトラ模様(シマ模様)は、大きくつぎの3色にわけられることが多いにゃ。(キジトラとサバトラはまとめられることも。)

(1)キジトラ

野生に近い毛色。毛の一本一本は黒や茶灰色のアグーチ毛、全体的には、黒いシマ模様に見える。尾の先端は黒。Brown tabby。

(2)サバトラ

黒と灰色のシマ模様。キジトラとまぎわらわしいが、茶灰色の毛が見えないことで区別する。Silver tabby。

(3)赤トラ(茶トラ)

シマ模様部分は茶色(オレンジ色)の濃淡でシマ模様が見える。Red tabby。

赤トラ(茶トラ)には大きな子(デブ猫含む)が多いとも言われているけど、遺伝子上、茶トラには雄猫が多いことも関係していると思うニャ。性格としては、マイペースで大雑把、温厚で甘えん坊、人懐こい、食いしん坊、などといわれるニャ。

で、「トラ猫の威」のことだけど。

やっぱり、赤トラ(茶トラ)じゃね?どっしり、でっぷり、明るい色は目立ちやすいし、すぐ人に寄っていって「スリスリ、おやつくれ~」ってするから、とにかく目立つ。雄が多い上、面倒見のよい奴が多いから、地域のボス猫にもなりやすい。

ってことで、「虎威」は「赤トラ威」と言い換えても良いと思うのだニャ!

茶トラ猫

虎の威力はこんなにすごい?

犬に吠えつかれたときは、空中に「虎」という字を書けば犬は恐れて逃げていく、ただし犬は字が読める犬でなければならない、という話が、 十返舎一九『東海道中膝栗毛』 に出てきます。

(前略)あはや軒下の犬どもが、おきたちて吼かかれば、弥次郎兵へきょろきょろして「ヱゝこのちくしやうめらア。わるくふざいやアがる

ト石ころをひろひてうちつくれば、なおゝゝ犬はおこりたちてとりまく

北八「かみなさんな。犬までばかにしやアがる。ヲヤ弥次さん、おつな手つきをして、おめへ何をする

弥次「イヤ犬にとりまかれたときは、宙へ虎といふ文字をかいて見せると、犬がにげるといふことだから、さつきからかいてゐるが、ねつからにげやアがらぬ。こいつらアみんな、無筆の犬だそふな、シツシゝゝ

【注】東海道名所記、三に、大きな赤犬にほえたてられ、虎という字を書いて見せたが、田舎そだちの犬で字がよめず、尻にくいつかれたという話がのっている。

十返舎一九『東海道中膝栗毛』 五編下 岩波文庫 ISBN9784003002726

【文例】

曲亭馬琴(1767-1848年)『南総里見八犬伝

敵は聞きしにいやませる、勇将なり猛卒なり、しかも大軍なりしかば、撃(うて)ども射れども物ともせず、一陣に進る猛将、鎖の上に大荒目(おおあらめ)の鎧を重(かさね)て、長一丈(ながさいちじょう)あまりなる、鎗(やり)りうりうとうち揮(ふり)つつ、馬の平頸に引添て、眼(まなこ)を睜(みは)り、大音揚(だいおんあげ)、群賊天罰脱(まぬか)れず、白刃頭に臨むを暁(さと)らで、虎威を犯すは愚なり。

岩波文庫『南総里見八犬伝(一)肇輯巻之三 第五回 page85  ISBN:9784003022412

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