豹は死して皮を留め人は死して名を留む/虎は死して皮を残し人は死して名を残す

ひょうはししてかわをとどめひとはししてなをとどむ

とらはししてかわをのこしひとはししてなをのこす

【意味】

ヒョウやトラは死んでも美しい模様の毛皮を残す。

人間も同じように、死んだ後に名声が残る。

生前から自分の名誉を汚さないよう注意し、死後も褒め称えられるような、立派な一生を送るようにしなければならないという教え。

【参考文献】

成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら

【猫的解釈】

猫はね、トラやヒョウと違って、死ぬ前から残しているよ。たっくさんの、抜け毛を。

猫がいる家には、どれほど掃除しても、必ず抜け毛が落ちているんだ。 猫と暮らしている人は、外出先でもしばしば、服に抜け毛をくっつけているんだ。 とくに春と秋の抜け毛シーズンは、よく抜けるにゃあ。

でも、役に立つこともあるニャンよ。 ボクのママはね、抜け毛の多さで、その冬の積雪量を予測できるって言ってる。 ニンゲンの長期予報より、ずっと良く当たるんだって。ホントだよ。

猫の毛
猫の毛
猫の毛
猫の毛
猫の毛
猫の毛

猫の毛。シルバータービー&ホワイト、縞三毛、茶(赤)トラ、サバトラ、黒白、キジトラ(ムギワラに近い色)。

【雑学】

出典

『五代史ごだいし』王彦章伝おうげんしようでん

《原文》

武人不知書、常為俚語謂人曰、「豹死留皮人死留名」。

《読み方》

武人にして書を知らず、常に俚語を為し人に謂いて曰く、「豹は死して皮を留め人は死して名を留む」と。

《訳》

王彦章は武人で字が読めなかったので、書物の中の言葉の代わりに、世間の諺を引用したが、いつも人に言ったのが、「豹は死して皮を留め、人は死して名を留む」という諺であった。

《背景》

五代(10世紀前半)は王朝の興亡が続く乱世だった。王彦章は後梁で一兵士から将軍になった生粋の武人で、書物とは縁がなかった。そのかわり、騎馬で槍をとれば天下無双で、兵から「王鉄槍」と呼ばれた。

歴史に名を残した「虎」男たち

上杉謙信(1530~78年)は、戦国時代の武将。

越後守護代長尾為影の次子として、庚寅(かのえとら) の年に生まれたことから、「虎」と縁の深い名が続いた。

まず、幼名は「虎千代」。

元服して平三影虎。

上杉憲政を助け関東に兵を出し、1561年に上杉政虎と改名。

さらに翌年、上杉輝虎と改名。

このように、1574年剃髪して謙信と名乗るまで 常に「虎」の字を使っていた。

身の丈六尺の大男(約180cm)だったらしいし、武田信玄との戦いを始め、戦に明け暮れたその生涯は、まさに猛虎のイメージではあるが、その一方で、信心深く、独身を通し、和歌や書が巧みで、また邦楽「歌沢節」を創始するという面もある。

寺田寅彦(1878~1935)は、物理学者で作家。 夏目漱石と親交があり、「吾輩は猫である」に出てくる 好男子・水島寒月のモデルといわれる。

「天災は忘れた頃にやってくる」は彼の言葉。

もうひとり、忘れてはならない男がいる。 もちろんプロゴルファーのタイガー・ウッズである。 「タイガー」の名は、父親がベトナム戦争従軍中、 尊敬していた大佐のあだ名にちなんで付けたらしい。

.

虎も豹も毛皮は国際取引禁止

ワシントン条約は、正式には 「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」という。 1973年にワシントンで採択され、世界の約170カ国が加盟している。 (日本の批准は1980年)。

この条約の目的は、国際取引を規制することで、絶滅が危惧されている野生動植物を保護すること。 その規制対象は、生体だけでなく、毛皮、皮革製品や漢方薬等も含まれる。

規制対象となる動植物は次の3つに分けられる。

【附属書I】
絶滅の恐れのある種で、国際取引による影響を受けているか、受けることのある種。商業目的の国際取引は禁止。

【附属書II】
国際取引を規制しないと絶滅のおそれのある種。 取引には、輸出国政府の管理当局が発行する輸出許可書が必要。

【附属書III】 ワシントン条約の締約国が、自国内の動植物を保護するため、他の締約国の協力を必要としている種。 取引には輸出国政府の管理当局が発行する輸出許可書、 又は、原産地証明書が必要。

トラもヒョウも、【附属書Ⅰ】である(2008.2.8.現在)。 一般人は、生体はもちろん、毛皮や、牙・爪のアクセサリー、虎漢方薬(実はトラと偽ってヒョウが使われいる場合が多いそうだ)などを日本に持ち込むことはできない。

ネコ科Felidae は、イエネコ種を除くすべての種が【附属書Ⅰ】または【附属書Ⅱ】である。

トラやヒョウに限らず、ネコ科の動物の多くが、あまりに美しい毛皮ゆえに狩られた。否、今も密猟されつつある。間違っても毛皮を買ったりしないように。

猫

これはキジトラ猫。にゃ~

文例

曲亭馬琴(1767-1848年)『南総里見八犬伝

虎は死して皮をとどめ、人は死して名をこそ遺せ。死すべき時に得死なば、世に疎まれて恥多かり。

第四輯 巻之三 第三十五回 ISBN:9784003022429 page274

世にすぐれたる力二郎・尺八等が親となり、妻となりたる幸ひを、歎きに思ひかえよかし。虎は死して皮をとどめ、人は死して名をこそ遺せ。老少寿夭(じゅえう)は命なり、と悟れば誰か死ざるべき。

第五輯 巻之五 第五十回 ISBN:97840030224369 page189

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


前の記事

張り子の虎

次の記事

君子は豹変す/豹変