猫の鼻と女の尻は大暑三日の外は冷たい/女の腰と猫の鼻はいつも冷たい/猫は土用に三日鼻熱し/女の尻と猫の鼻は土用三日暖かい
ねこのはなとおんなのしりはたいしょみっかのほかはつめたい
おんなのこしとねこのはなはいつもつめたい
ねこはどようにみっかはなあつし
おんなのしりとねこのはなはどようみっかあたたかい
【意味】
「大暑」は、陽暦7月23日頃の、1年で一番暑い時期。
猫の鼻先は湿っているため、また、女性のお尻も皮下脂肪のせいで ほぼ1年中冷たいということ。
また、「土用」とは、立春・立夏・立秋・立冬の前のそれぞれ 18日間の称だが、ここでは夏の土用のことで、 7月20日前後から8月8日頃までの、1年中で一番暑い時期のこと。
猫の鼻はその一番暑い時期に3日間だけ熱くなるほかは 一年中冷たい、という意味。
あるいは、いつも冷たい猫の鼻でも、土用三日の本当に暑い時は さすがに暖かい、の意。
【外国では】
(英)A dog’s nose and a maid’s knees are always cold. 直訳:犬の鼻と女の膝はいつも冷たい。
【参考文献】
『成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら
【猫的解釈】
猫の鼻よりも、猫のごはんが問題だと思うにゃ!冬に冷たいごはんはイヤにゃ!換毛期には野菜(猫草)もほしいにゃ!
【雑学】
猫の鼻はなぜ冷たいか?
以下、武藤眞著 『猫は三年の恩を三日で忘れるは本当か?』から引用します。
なぜ、ネコの鼻は冷たいのでしょうか。
人間は、汗をかいて体温調節をします。汗をかく腺には、アポクリン腺とエクリン腺の二種類があります。人間は身体中にアポクリン腺がありますから、体のあらゆる部分からの発汗が可能です。
ネコはアポクリン腺が非常に少なく、エクリン腺も足の裏の、いわゆる肉球(パッド)にあるにすぎません。汗腺が少ないために、ネコは人間のように汗を放散して体温調節を行うことができないのです。
そこで、ネコは肺で体温調節をします。肺の中に水分を出すと同時に、体熱を放散しているのです。その肺に放出された水分は、呼吸をすることにより鼻に上がってきます。また、鼻には鼻腺があって、液体を分泌します。そのために、ネコの鼻はいつも濡れています。その湿りけで鼻の温度が下がるのです。(p.79-80)
なお、武藤氏は麻生大学獣医学部教授(本著発行時)。
この本は、猫のことわざ・俚諺とからめながら、獣医師としての立場で ネコの生態について説明した本で、その斬新な切り口が面白い。 少し古い本ですが、もし手に入ればぜひお読み下さい。
猫の嗅覚について
猫がにおいを感じる器官は、「嗅覚」と「鋤鼻器じょびき」の2つ。
鼻粘膜の中に、嗅上皮があります。 ネコの嗅上皮は、ヒトの5~10倍もの面積があり、 またそこに含まれる嗅細胞の数は、ヒトが4千万であるのに対し、 ネコは2億もあります。(ちなみに、イヌは10億。)
イヌほどではないにせよ、ネコの嗅覚も 我々ヒトよりずっとすぐれているのです。
鋤鼻器は「ヤコブソン器官」ともいわれ、 上顎の門歯の後ろに位置している器官です。 猫尿に含まれるフェロモンなどを知覚するのに使われます。
この器官を使ってにおいを嗅ぐときの猫は、 口を半開きにし、 いわゆる「フレーメン Flehmen」と呼ばれる、 独特な表情をします(ちょっとアホ面…笑)。
猫は食べ物を味覚より嗅覚で判断して食べます。 そのため、鼻風邪を引いた猫は、食欲まで無くしてしまい、 ますます体力が衰えてしまいます。 愛猫にはワクチンを接種して風邪を引かないように守ってあげましょう。
風邪を引いている野良猫や捨て猫に出会ったら、衰弱死する前に、 どうぞ保護してあげてくださいね。
*猫の鼻アップ写真はこちらに沢山あります。ぜひご覧下さいニャ。