虎は千里行って千里帰る/虎は千里の藪を越す/虎は子を思うて千里を帰る
とらはせんりいってせんりかえる
(虎は千里行って千里戻る とらはせんりいってせんりもどる)
(虎は一日に千里を走る とらはいちにちにせんりをはしる)
とらはせんりのやぶをこす
とらはこをおもうてせんりをかえる
【意味】
- 獣の王者である虎は、一日に千里の距離を走り千里戻ってくることができるほど、勝れた行動力を持っていると言われることから、人やものの勢いが非常に盛んな様子のたとえ 。
- 虎は一日に千里の距離を走るが、巣穴にいる自分の子供を思って、また千里を走って帰ってくる。親が子を思う気持ちの強さをたとえたことば。
【参考文献】
『成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら
【猫的解釈】

【雑学】
猫が行方不明になったときのおまじない
小暮規夫『猫が夢を見ているときはそっとしておこう』という本に、このような記述があります。
「猫が逃げたら、暦の逃げた日のところを墨で塗っておくと、猫が帰ってくる」、これは、江戸時代の書物に載っていたおまじないです。
このほかには、稲荷神社に参拝する。また、「虎は千里を行って千里を帰る」ということわざや猫は虎に似ていることにあやかって、虎の字を紙に書いて戸口に貼ったり、虎の字のところへ釘を打ったり、その紙をかまどに伏せる、というのもあります。page179
実際にトラが歩く距離は?
『野生ネコの百科』によると、「一晩の狩りで10~20kmも歩く」とある。
トラの獲物はスイギュウのような大型の動物からカエルやバッタまで、
「ありとあらゆる動物であるが、その地域で手に入れやすい獲物を捕食する。 だが、狩りの成功率は低い。10回から20回ダッシュしてようやく1頭を仕留める程度らしい。」
そして
「一晩で自分の体重の5分の1を食べるという。およそ37kgである。」
トラは魅力的な動物だけど、1日37kgもの生肉を食べてしまうなら、餌代が大変だから飼うのはや~めた!(笑)
千人針
「千人針」というものをご存じだろうか。
1枚の布に、千人の女性が一針ずつ、赤い糸で縫い玉(=玉止め)を作ったもので、弾丸をよけるとされ、出征将兵の武運長久・安泰祈願に送られた。 日清・日露戦争の頃に始まり、第二次大戦中はさかんに行われた。
この「千人針」の由来になったのが、「虎は千里行って千里帰る」の言い伝えとされている。
そのため、虎の絵の描かれた布を使ったり、また寅年生まれの女性にはその年齢だけ縫って貰うのが効果があるとされた。
千人針には、夫や息子、家族の無事帰還を祈る女性達の、呪わしいまでに悲痛な願いが押し込められていているような気がして、私は安らかな気持ちで見ることができない。 日本人女性がまた千人針を縫う日なぞ、未来永劫、二度と来ないことを祈る。
*猫たちも戦争には絶対に反対!
寅の日
十二支は、年だけでなく、月、日、時間、方位にも割り当てられている。 そのうち、寅(とら)の日については、「虎は千里行って千里戻る」の言い伝えから、金運や旅行運などには吉、婚礼や葬儀には凶とされる。
- 金運=虎の黄金色からの連想、および、「お金を使っても戻ってくる」などとされ、新しい財布は寅の日におろすのが吉とされた。
- 旅立ち、船下ろし、初漁=無事戻ってこれるとされて吉。
- 婚礼=戻ってくるの連想から忌まれた。
- 葬儀=死者が後帰りするとの連想から忌まれた。
- 【十二支】
- 子 ね
- 丑 うし
- 寅 とら
- 卯 う
- 辰 たつ
- 巳 み
- 午 うま
- 未 ひつじ
- 申 さる
- 酉 とり
- 戌 いぬ
- 亥 い

距離・広さでいう「里」とは
●行政区間の名として
古代中国・周代の制度で、家、二五戸。 後、五十戸、百戸など、時代により増加した。
●距離の単位として
同じく周代に、1尺の6倍を1歩、 1歩の300倍を1里とした。 時代により、尺・歩・里の距離は変化する。 なお、日本の1里は中国の里よりずっと遠い。
尺 | 歩 | 里 | |
周~前漢 (前10~1世紀) | 22.50cm | 1.350m 6尺 | 405.0m 300歩 |
新・後漢 (1~3世紀) | 23.04cm | 1.382m 6尺 | 414.7m 300歩 |
魏 (3世紀) | 24.12cm | 1.447m 6尺 | 434.2m 300歩 |
随 (6~7世紀) | 29.51cm | 1.771m 6尺 | 453.2m 300歩 |
唐 (7~10世紀) | 31.10cm | 1.555m 5尺 | 559.8m 360歩 |
宋・元 (10~14世紀) | 30.72cm | 1.536m 5尺 | 553.0m 360歩 |
明 (14~17世紀) | 31.10cm | 1.555m 5尺 | 559.8m 360歩 |
清 (17~20世紀) | 32.00cm | 1.600m 5尺 | 576.0m 360歩 |
現代中国 (20世紀~) | 33.33cm | 1.667m 5尺 | 500.0m 300歩 |
日本 (20世紀~) | 30.30cm | 3927.27m |
【参考文献】