文学史上の猫:古典に登場する猫たち(~室町時代)
日本文学史上、最古の猫=『日本霊異記』
『日本霊異記』の正式名称は『日本国現報善悪霊異記(にほんこくげんぽうぜんなくりょういき)』。南都薬師寺の僧・景戒(きょうかい)が著した説話集で、日本最初の短編小説集でもありました。延暦六年(787)に一応まとめられ、その後、嵯峨天皇の弘仁十三年(822)にも少し書き加えられました。その間35年の期間がありますが、いずれにせよ、早ければ787年頃、遅くとも822年頃に、日本で初めての「猫」が文献に登場したということになります。詳細は↓
『寛平御記(宇多天皇御記)』
宇多天皇(867~931年、第59代天皇在位887~897年)が書いた『寛平御記(宇多天皇御記)』に、愛猫自慢が出てきます。日本最古の猫溺愛エッセイです。詳細は↓
清少納言『枕草子』
『枕草子』は平安中期、長徳2年(996年)くらいから寛弘5年(1008年)年くらいまでに書かれたと言われています。中に出てくる「命婦のおとど」(長保二年(1000年)3月ごろの話)は日本最古の猫の名前でもあります。詳細は↓
※『小右記』長保元年(999年)9月 に「命婦のおとど」の誕生が記されているとのことですが、私はまだ読んでいませんので詳細はわかりません、すみません。
紫式部『源氏物語』
『源氏物語』は平安時代中期に書かれた長編小説で、文献上の初出は1008年(寛弘五年)となっています。柏木と猫の話が有名です。詳細は↓
菅原孝標女『更級日記』
『更級日記』は、平安時代中期頃(1058年以降)に書かれました。内容は著者・菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の回想録で、寛仁4年(1020年)13歳~50代までの約40年間を書き綴ったもの。姉妹がかくまった不思議な猫の話がでてきます。詳細は↓
吉田兼好『徒然草』
『徒然草』は、鎌倉時代末期の随筆集。その成立時については1330年説~1349年説とはっきりしません。「猫又」の話が出てきます。詳細は↓
御伽草子『猫の草子』
「御伽草子」は、室町時代につくられた散文体の読物の総称。『浦島太郎』『鉢かづき』『ものくさ太朗』『一寸法師』『酒呑童子』等、今も親しまれている作品は多い。その中に『猫の草子』があります。
『山里は冬ぞさびしさまさりける
人目も草もかれぬと思へば』
源宗于朝臣