群羊を駆って猛虎を攻む/群羊を駆りて虎狼に向かう
ぐんようをかってもうこをせむ
ぐんようをかりてころうにむかう
【意味】
沢山の羊を追い立てて虎に立ち向かわせることから、弱小国を連合させて強大な国を攻めるたとえ。
【参考文献】
『成語林』旺文社、『広辞苑』岩波書店、『大漢語林』大修館書店、『四字熟語の辞典』三省堂、ほか。参考文献の全リストはこちら
【猫的解釈】
【雑学】
出典
『戦国策せんごくさく』楚・懐王そ・かいおう
トラ対ヒツジ
今泉忠明氏は、 『動物の狩りの百科』 の中のトラの項で、 「どこまで真実か分からないが」 と断った上で、 こんな話を紹介している。
インドの田舎のある村では闘技用にヒツジが飼育されており、しばしば“闘羊”が催される。癇癪持ちの男が気の強いヒツジを飼っていたが、なかなか言うことを聞かず、うまく勝たない。ある日とうとう男は癇癪を爆発させて、このいまいましい獣をトラの穴へ投げ捨てた。すると、ヒツジがいきなりトラに向かって、あたりに響くようなもの凄い頭突きを食らわした。すっかり動転したトラは逃げ回り、ついにはヒツジに突き殺されてしまった。
トラ対スイギュウ
キップリングの名著 『ジャングル・ブック』 は、 オオカミに育てられた少年モーグリの冒険物語である。
モーグリの宿敵、トラのシェア・カーンは、常にモーグリを狙っていた。 しかしモーグリは、オオカミの群や、クロヒョウのバギーラ、クマのバルーたちにしっかり守られて育つ。
そしてついに、立場が逆転する時がやってくる。
その時、モーグリはまだわずか7歳。 日本の甘やかされた幼児とは比較対象にさえならない逞しい子とはいえ、小学1年生の子供に老練なベンガルトラの雄は殺せない。
モーグリが利用したのは水牛の群だった。 シェア・カーンが深い谷底で満腹して寝ているとの情報を得たモーグリは、オオカミたちの助けを借りて、水牛の群を二手に分け、谷の両側から追い込んで、シェア・カーンを挟み撃ちにする。
シェア・カーンが気付いたときは、時既に遅し。 片側には、雄牛の群。反対側には、子牛を連れた雌牛の群。
シェア・カーンはとっさに雄牛の群に向かう。 子連れの雌よりは、雄牛の方がまだ扱いやすいと判断したのだが。
勝負はあっけなかった。
… and then Rama tripped, stumbled, and went on again over something soft, and, with the bulls at his heels, crashed full into the other herd,…
「…と、ラーマ(モーグリが乗ったボス牛)は、つまづき、もがき、 何か柔らかいものを乗り越えるとふたたび進撃を続け、雄牛たちの先頭を切って、もうひとつの群に真っ向から突っ込んでいった…」(管理人による直訳)
シェア・カーンは反撃一つできなかった。 水牛の群にあっさり踏み殺されてしまったのである。
こうしてモーグリは文字通り、ジャングルに恐いもの無しとなったのだ。